【甲田学人】Missing 神隠しの物語
「Missing 神隠しの物語」
著者:甲田学人
イラスト:翠川しん
電撃文庫
【bk1】
電撃ゲーム小説大賞最終選考からのデビュー組。「E・G」の秋山さんといっしょ。中身はオカルト色のかなり強いファンタジー。なのだけど、ワタシにはファンタジー色の強いミステリーに思えた。それほどミステリーを読んでいるわけでもないから、違うかもしれないけど、話の展開の仕方が何となくそういう印象。まず答えとしての事実があって、それに対して考察を加えて、解答にたどり着く過程を見せるというか。本文にもある「科学的考察」を実践している感じ。
ネタは「神隠し」。どこの神話・民話にも見られる逸話に対して一つの見解が与えられているのかも。とにかく本文の情報量は多い。ただ、全体的に心理面、しかも少し黒い方がメインにでてくるからその辺少し重いかも。メインで動くのは5人の学生と問題の少女。それぞれに、積み上げた物が見え隠れするので存在感もちゃんとある。欲を言えばもうすこし問題の少女を掘り下げてほしい感じもするけど、そうすると雰囲気壊れちゃうかな。
ちょっと哲学的な部分も多いけど、結構刺激になる一冊。魔王陛下のお言葉は参考になります。「思考停止に安住するな」とはちょっと耳が痛いですけどね。