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2002年03月30日

屋久島二日目

天気:晴のち雨


 本格的に動く二日目。種子島での悪天候が嘘のような晴天。気温も高めで良い感じ。純和風の朝食が久しぶりで結構うれしかったり。
 前日の家に頼んでおいたレンタカーを受け取りに、レンタカー会社の車で事務所まで。借りたのは軽のスズキ、アルト。新規格の軽。こいつは初めてなので、どきどきの乗り出し。ちょっとハンドルが重いのと、加速が鈍く、馬力がなさげなのが難点なれど、家のパパさんみたくうるさくなくて、壁が厚めなのはいいかも。
 見て回る方針としては、島を西からぐるーっと一回り。最初の目的地は、屋久島最大の滝、大川(おおこ)の滝。島の周回道であるところの国道は、宮之浦近辺はちゃんと対向できるのに、ちょっと離れてくるとすぐに道幅が狭くなるし。途中、道の端になにやらうごめくモノが数体。何事かと思えば、サルぢゃないですか。猫もそうだけど、こいつもなんだか人に動じないと言うか。車で行っても、ちっとも逃げないし。思わず至近距離で写真撮ってみたり。ぢつは今後、山道の所々でこの屋久ザル君たちに遭遇することになる。
 大川の滝はさすがの一言か。えれー迫力。天気もいいからかなり綺麗でした。お次は千尋の滝。これもそれなりに大きい滝なんだけど、生憎、見られる位置が滝から遠いので迫力は大川ほどでもなく。そして、近所にあるトロ沖の滝へ。ここは近くの駐車場に車を止めて、そこから歩き。なぜか車を止めて、降りようかとした瞬間、ポタポタ……と垂れるモノが。何かと思えば、突然のはなぢ。正直、なぜ? とりあえず、慌てて車を止めたところでティッシュペーパーを買って切り抜ける。鼻にぽっちを詰めて、滝を見に細い道を降りてゆく。ちょっと行くとすぐに行き止まり。だけど、樹の間から綺麗な赤い橋と、その下のこじんまりとした滝が見える。慎ましいモンだけど、上の橋とのコントラストがいい感じですな。
 この後は、メインが二つ。まずは安房の港からかなり上がったところにあるヤクスギランドへ。ココも途中までは綺麗な道なんだけど、突然すさまじい狭さの道になったり、作り途中の未舗装道路になったりと結構忙しい。何はともあれ、到着後、後のことも考えて80分コースに潜る。ちゃんと道が整備されていたり、そうでもなかったりするところをえっちらおっちら歩く。名前のある杉にもいくつか会ったが、そうでもない杉でもかなりの重厚さ。アップダウンも多く、結構疲れたモノの、空いたおなかを抱えて出口まで。ヤクスギランドからさらに車で上ると、樹齢3000年オーバーの紀元杉を訪問。これまたの迫力。再び車に乗って山を下る。
 お昼ご飯を調達に宮之浦へ向かう。道々、脇を見ながらお店を探すが特に見あたらず、結局宿の近くまで。かぼちゃ屋なる店で、屋久島ラーメンを食す。屋久島名産のさば節でダシを取った独特のスープのラーメン。生臭いのかと思ったけど、全然そんなこともなく、非常においしいモノでした。
 腹ごしらえの後、また山道を登って、白谷雲水峡へ。今度はちょっとがんばって150分コースへ。最初は舗装された道だけど、すぐに原生林歩道にはいると、道筋があるだけの、かなり激しい山道をひたすら歩く。道中、なのある杉からそうでないものまで、ごっつい杉たちに多数遭遇する。一時間半ほど歩いて、奉行杉の所で小休止。森の中の雰囲気は、うまく言葉で言い表すことができないですな。実際に体験してみないと。とにかく静かで、時の流れが止まったようであるのが実感できます。本当なら時計なんて無粋なモノを持つことなく、ただただ身をその流れにゆだねられると良いのですが。「生命」というものを本当に感じられた気がします。
 小休止して、歩き始めるとなんだか妙な音が。脇のほうからどすっ、どすっと。音の方にアタリをつけて目を凝らすと、なんだか白いふわふわしたモノが跳ねている。よくよく見ると、その正体はシカ。慌ててカメラを構えるも、直前にちょうどフィルムを使い切っていて残念。シカに向かってカメラを構えていた時、シカ君はワタシの方を凝視しておりました。思わずにらみ合いをしてしまいましたよ。すぐに森に消えてしまいましたけどね。アレは貴重な体験でした。途中、渡る沢で水を調達しつつ、ヨレヨレの足を引きずって歩を進め、なんとか森を抜ける間際で再びシカに遭遇。今度は大中小3頭。今度はしっかり写真に納めましたよ。きっと。
 あとはもう、車を返し、宿に戻って、夕食食って、風呂は行って、さっさと寝ました。風呂場ではなぢがまた出て大変でしたが。
 屋久杉に囲まれた中に入ることで、何となく、何かが抜けて、何かが入ってきた、そんな感じを受けました。中にある空気は千年単位のモノ。いかに人間という生き物がちっぽけであることを痛感します。この島に生きる木々が、いままで何を見て、何を感じ、何を考えてきたのか、一度聞いてみたい気もしますが、人間なんか、相手にされなそうです。「ガイア思想」というモノはこういう感じから生まれたのかと思います。とにかく、いろいろ感じ、いろいろと思う、良い経験ができると思います。多少無理をしても一度行ってみることをおすすめします。

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