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2000年06月28日

重い……でも、喉越しすっきり?


 以前に、表紙に惹かれて「おいしいコーヒーの入れ方」なるシリーズを4冊一気に購入、読んだことはここにも書いた。ワタシは新書で買ったのだが、最近、文庫本で再版されているのを知った。何となく悔しい思いをしたモノだが、やっと2巻目が出たばかりだから、それはいい。で、それを見つけた時にこの作者さんの他の本が目に入った。そのときは買わなかったのだけど、先日、久しぶりに一時間ほど電車に揺られる必要が生じたので、ふと思いついて、そのうちの一冊を手に取った。


◇【村山由佳】「天使の卵(エンジェルス・エッグ)」/集英社文庫[book]

 村山由佳さんの「小説すばる」新人賞受賞作品だそうだ。中身はといえば、ばりばりの恋愛小説。でも、その辺にあるような、思わず赤面してしまうような内容でなく、出てくる人物は皆、何かしらの傷を負っていて、その傷故につらい恋を経験するような感じ。重いんですよ、話。でも、読んだ後は、何ともいえない気持ちにさせられてしまうんです。決して気分は悪くありません。のど(心)に突っかかった小骨がとれるような。そんなすっきりした気分になります。何でかよくわかんないんですけど。「天使の卵」は少なくともハッピーエンドではないし、またはっきりと結末が描かれているわけでもない。だけど、なんかこれで十分な感じする。

 一冊読んだ後、他のも読みたくなって、結局本屋へ直行。「君のためにできること」、「もう一度デジャ・ヴ」、「BAD KIDS」と一気に読破。この3冊とも全部、やはり出てくる人物はみんな、何か傷や負い目を持っている。ハッピーエンドもあったけど、結末はやはり言葉足らず。でもなんか、いい。共感しすぎるとちょっと痛いけど。十代、二十代の人間に支持されるのも当然と思えた。なにかしら感じるところがあるだろうから。「恋愛小説」って肩書きがついてしまうと、少し敬遠してしまうけど、ちらっと手に取ってみると少し心に余裕ができる……かもしれない。

 ただ、「おいしいコーヒーの入れ方」に関しては、はっきりと結末まで書いてほしい、というのはワタシ個人の大きな希望です。
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