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2001年09月09日

【鷹見一幸】時空のクロスロード3 バースディは永遠に


「時空のクロスロード3 バースディは永遠に」
著者:鷹見一幸
イラスト:あんみつ草
電撃文庫
bk1

 電撃hp読者アンケートで好評を博して、文庫になったシリーズの完結編。
 時間軸はいっしょだけど世界情勢が違うという平行世界を舞台にしたお話。そこでは世界中に蔓延した致死率、罹患率の非常に高いウィルスのせいで社会が崩壊。生き残った少数の大人と多くの子供達がいくつかのキャンプで暮らし、無法状態になっている中において、その安定を破壊から得ようとする暴徒たちとの戦闘が繰り返される。そんなところに変なじじいにもらった機械で「平和で安穏」とした世界から飛んでくる主人公達。そこから変わっていく世界の因果律……。
 決して特殊な能力を持った人間ではなく、シリーズを通して食べ物だけで周りを変えてしまうという、単純で根本的ではあるけれども、それだけに効果的な干渉の仕方。真ん中の2巻目はちょっとたるんでしまったけど、今回の3巻目は最後にしっかりと締まっていい感じ。自分たちが今、いかに「危うい平和」を享受しているのか、そしていかに「無力」であるか、少し身につまされるものもあるけれど、前向きな結末であることで気持ちよく読み切ることが出来る。
 しかし、このシリーズを読んでいると無性にお好み焼きやホットケーキ、カレーなんかを食べたくなるのはつらいかなー。それだけ描写に気合いが入っているのだけど。直前に出た「でたまか」のおわりがおわりだったので少し不安だったものの、こちらの方はきれいにまとまって終わってくれたようです。

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