【茅田砂胡】デルフィニア戦記1 放浪の戦士
「デルフィニア戦記1 放浪の戦士」
著者:茅田砂胡
イラスト:沖麻実也
中央公論社
【bk1】
高校の頃からだから、実は始まった頃からなのか……、そのころから気にはなっていたモノの、表紙の絵柄から対象がワタシとは異なる事を感じ、手をつけずにいたのだけど、書評サイトでの評価数とそのべた褒めな様子から、思わず古本屋を巡って、一巻目を調達。とりあえず、読んでみて、モノの見事にはまってしまった。その後、続刊を仕入れるべく、古本屋を徘徊したが、発見できず、断腸の思いで新品を購入することに。新書版だから高いのにもかかわらず、全18巻。結局一週間で全巻購入、読破してしまいました。まったく、懐の寒いこと寒いこと。というわけで、以下感想。
このシリーズのなによりの魅力は、主人公およびヒロイン(っちうのか?)、そしてそれを取り巻く人々のやりとりでしょう。ぽんぽんと繰り出されるそのせりふの群からは、どんなにつらい場面でも思わず笑いがこぼれ、そのキャラクターが妙に身近に感じられます。実際にいたら、迷惑千万な連中ですが、人間的な魅力は非常に大きいです。きっと、ふつうに考えればネタ的に大河ロマンとかいわれるような話なのですが、誰もがどたばたコメディーと評することでしょう。なかでも、物語の中心におかれる各独身男性陣の嫁取り物語は、抱腹絶倒ですね。笑いの連続。いろんな個性のキャラクターがでてくるから、きっと一人はお気に入りができるであろう、貴重な小説かもしれません。人気がでるのも頷けます。話としては、生まれに難ありな王様が、何とか王位についてそのあと近隣の二大国と一進一退の合戦をくりかえし……、みたいなシリアスな話なのに、全体を通してみてもそんな雰囲気はほんの少しで、基本的には皮肉の応酬、どつきあい、そんなかんじ。懐に余裕があったら、手に取ってみるとよいでしょう。お気に入りなキャラクター、一人あげるのは、ワタシには無理ですね。みんなお気に入りですよ。