【長谷敏司】フリーダの世界 天になき星々の群れ
「フリーダの世界 天になき星々の群れ」
著者:長谷敏司
イラスト:CHOCO
角川スニーカー文庫
【bk1】
前作「楽園」で独特の色合いの世界を描き出した長谷氏の待望の新作。今回の主役は《銀髪のコンピュータ》セルm……、いや華麗なる暗殺者・フリーダ嬢。
内戦が絶えない故郷のゲリラの資金源として組織に身を置き、暗殺を請け負う少女・フリーダ。一流の暗殺者として仕事をこなしていた彼女が、新たな任務を受け身を置くことになったのはとある女子校。そして、下宿先のルームメイト・アリスに出会うことで彼女の中の何かが変わっていく……。
今作も、舞台は未来世界なので仕掛けはSFですが、どちらかというと人間の内面にスポットを当てた人間ドラマかと。神様視点ですが、対象を3人に分けて、ザッピング形式で話を展開していくのが、慣れるまで少し読みにくいかもしれません。慣れてくると人の心理の動きなんかがよく出ていて読み応えがあります。人の描写もそうですが、何より文章から想起される映像が鮮やかなのが、この人の特徴じゃないかと思われます。
どうやらコレはシリーズもののようですので、真っ白なアリスと生活を共にする、未だ自分の色を知らないフリーダがどのように色を付けていくのか、非常に興味深いところです。遅筆の気があるので、次はがんばって早めの刊行を熱望します。