【椎野美由貴】バイトでウィザード 流れよ光、と魔女は言った
「バイトでウィザード 流れよ光、と魔女は言った」
著者:椎野美由貴
イラスト:たけひと
角川スニーカー文庫
【bk1】
今年の角川スニーカー文庫学園小説大賞・大賞受賞作。大地に埋められた昔の神様のかけらの力を使って、世の中の澱みをなくしていく「矯正術者」という職に就いた双子の兄妹が繰り広げるどたばた話。
「矯正術者」という職業に関してはおもしろいと思う。影響範囲がご近所一帯というのも微妙なちんまり感があっておもしろい。中心の双子、かたっぽはとことんハイテンションな女の子。もう一方がとことんクールな男の子。キャラクター同士の掛け合いも軽めでテンポよく進むので読みやすい。んだけど、今ひとつ根幹のエピソードに関しての掘り下げ方が弱いかも。最後がすごく駆け足で薄っぺらく感じられてしまうのは残念。双子♂の方の背景ももうちょっとうまく使えると思うんだけど。
突出した部分はないけれども、無難に読める一冊かなぁ。続刊刊行がすでに決まっているようなので、今後この「矯正術者」というものをどう扱っていくのか、それ次第かな。