H-IIA F#6 指令破壊
2003年11月29日13:33に種子島宇宙センターからH-IIA6号機(2024型、ペイロード:IGS*2)が打ち上げられました。台風の接近が心配されたどんよりしたお天気でしたが、風もなく、打ち上げは滞りなく行ったようにおもえましたが、13時43分53秒、打ち上げから10分53秒後ミッションの達成可能性なしとの判断から、指令破壊されました。
現時点でわかっている原因として、二本ついている個体ロケットブースターSRB-Aのうちの一本が分離しきれず、その重量のために一段目、二段目エンジンの燃焼でも軌道まで速度を上げることができなくなったようです。SRB-Aの燃料なし重量は10t。厳密に質量に支配されるロケットにはこのデッドウェイトは大きすぎる。
この失敗に対する新聞・テレビ等マスコミ各社の反応はいつものごとく。
問題のブースターの分離機構は、ブースターを固定している6本の梁を爆裂ボルトで切り離すもの。火工品であるボルトを発破するラインは二系統。原則としての冗長は確保されているはずでした。しかし、分離失敗が今回のように即失敗につながる分離機構が爆裂ボルト一系統であるというのは、開発段階から懸念されていたようです。爆裂ボルトは一回しか使えないため、フライト品を試験することはできないことも厳しい。おそらく、今回の失敗でバックアップの分離機構をつけることになるんでなかろうかと思われます。
今回のF#6はその延期の状況や六回目の打ち上げということがH-II8号機を彷彿とさせ、なんともイヤな感じだったのですが、なんともはや……。新聞の一部に「六回目の壁を越えられなかった」とありましたが、イヤなジンクスができてしまったようです。
モノがIGSだったので、中継がなく、じりじりしながらニュースを待っていたのに、流れたニュース速報は「失敗」の報。しかも時間的に二段目だし。「7の次は5かよ!」と思わず叫んでしまいました。とりあえず、メイン推進系は何事もなかったと思いたいけど……。
次のF#7は懸案のMTSAT-1R。衛星はまだ生産国を出ておらず、今回の失敗でおそらく対策のために機体も再チェック。延期は確実でしょうが、最近週間予報がころころ変わって、さらに的中率が落ちているように感じる天気予報には大きな痛手でしょうな。失敗を叩いて、無駄金使うなと叫び、ただでさえ厳しい予算で動いているなかをさらに締め付け、世論のバックアップを消し去ることで結果として、生活に必要な情報を得られなくしているんじゃ本末転倒な気もします……。