著作権保護と権益確保~CCCDの侵蝕
グラミー賞を8部門一気に受賞したシンデレラ・ガール(これもアレな表現だな…)のノラ・ジョーンズの新譜が出るというので、ちょっと情報収集したらば、日本版はボーナストラックがあるモノの、なんと音楽CD「もどき」であるところのCCCD適用だというので、即座に却下。amazon経由で輸入盤(US版)を購入する。
いつのまにやらこんなジャンルでもCCCDが侵蝕したのかと思い、webを見て回ると、かなりの批判が見受けられたり。さすがに、ジャズやクラシックを好む人たちは音質に一家言あるわけで、意図的にエラーを仕込み、結果として音質の低下を招く(といわれる)CCCDに対する拒否反応はおおきいのは当然でしょうか。
個人的には、単に気に入らないのでCCCDに金を払う気にはなれませんが、これを導入するに至った経緯やら、そもそもCCCDとはなんぞや、なあたりを調べてみた。
この「CDもどき」を導入するに至った音楽業界の根拠は「不正コピーの反乱による売り上げの低下」につきるような気がします。
この根拠に関しては、音楽業界の思考停止ではないだろうかと、ワタシは思います。そりゃ、売り上げ低下の理由をここに押しつければ自分のプライドは傷つかないわけですから。そもそも、レンタル屋がある時点で私的複製はなされてきたわけだし、カセットテープのような劣化するモノなら問題なしとするのも、著作物を創るアーティストにしてみればあまりうれしいことではないと思うし。売れない理由をそこだけに押しつけて、他の面には目をつぶるのは、馬鹿の一言でしょう。
実際、ここ数年で、非常に心に残るような、後々聞いて「なつかしぃ~」とおもえる楽曲が何曲あったでしょう? つい最近まで、本当にどこでも聞く曲というのがあったもんですが……。
で、ちょろっと調べてみると、昨年発売曲でミリオンセラーに達したのは実にたったの1曲。2002年も1曲。2001年が4曲。2000年13曲。とこんな感じです。これをコピーで売れなかったのか、単純に曲のクオリティが落ちたのか、景気のせいかそれは断言できませんが、大きなヒットが出ていないことは確かです。本当によいモノならば、どんな形でアレ売れるものだと思います。そこに至らないと言うことは、なにか問題がある、と思ってほしいです。
いずれにしろ、世界規格に収まらず、プレーヤー側が再生を保証できず、CCCD販売側も再生できないことがあり得ることを認めているモノを市販するという、その考えが理解できません。どう考えても、現状のCCCDは音楽業界の先走りでしかないと思います。本来ならば、PC業界、音響機器製造業界、家電業界等々を巻き込んで、それなりに著作権保護対策を施したちゃんとした規格を早い段階で策定しておくべきだったと思います。
何はともあれ、コンピュータの存在すらなかった時代の法律にいつまでもしがみつき、今までの権益を手放したくない一心での音楽業界の動き方は、消費者からは決して受け入れられないと思います。