【加納朋子】ささらさや
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「ささらさや」
著者:加納朋子
幻冬舎文庫
じんわりと心の温まる話を書いてくれる加納さんは,最近結構お気に入りです。「ななつのこ」と「魔法飛行」ですっかりはまってしまい,これも購入。
新婚ほやほや,赤ん坊も生まれて幸せな,なんてことない日常を過ごしていたはずなのに,突然舞い降りた夫の交通事故死というイベント(描写のタッチに悲壮感のみがあるわけでなく,何となく軽いので)。それを契機に,弱気でぽやーっとした「サヤ」に訪れる数々の出来事とささやかなミステリー。その解決に動くのは,死んだはずの夫の幽霊?
巻末の解説にあるように,まさしく某洋画のような話ですが,三婆やヤンママのような個性的な面々のおかげで,暗くなるだけの話でなく,何となくコメディが混じったような,だけど温かい,「ななつのこ」なんかと同じく,なんかほっとするお話です。
最近,殺伐とした話しか見聞きしないようになってしまったので,こういうほんわかする話は精神的安定剤としてありがたい限りです。