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【高畑京一郎】Hyper Hybrid Organization 01-02 突破


「Hyper Hybrid Organization 01-02 突破」
著者:高畑京一郎
イラスト:相川 有
電撃文庫
bk1

 仮面ライダーチックなヒーローモノ?な様相の高畠氏の新刊。hpでの連載があるとはいえ、結構待たされました……。
 前巻が特撮ヒーローモノ全開でちょっと合わなかったんですが、今回は人間主体なのでしっかり読めました。恋人を殺された復讐を誓って、世間的には「悪」な組織に身を投じる事を決意した主人公君が、構成員になるべく連れて行かれた訓練所での生活。モノの見事に一冊を通じて一人も女性が登場せず、とことん男臭い話ではありましたが、さすがというか何というか、やっぱり人を書かせると惹かれますね。盛り上がりどころもないのに、なんか一気に読めてしまうのはこの人ならではかな。
 次からは事態がようやく中核に向けて動き始めるでしょうから、期待大です。遅筆なのが一番の懸念材料ではありますが……。

【渡瀬草一郎】パラサイト・ムーン5 水中庭園の魚


「パラサイト・ムーン5 水中庭園の魚」
著者:渡瀬草一郎
イラスト:はぎやまさかげ
電撃文庫
bk1

 独自の神話体型を背景にしたパラサイト・ムーンの新刊。「実験室の子供たち」が主役の一連の物語の中間点。今回また新しく実験室出身の子が二人(ウチ一人はすでに出てきていたけど)登場。
 細かくちりばめられた伏線や設定なんかを回収しつつ、ちりばめつつ、中心におかれた子供たちが状況の打破をはかる。大きな盛り上がりや派手さはないけれども、しっかり着実に進んでいく話は素直にのめり込んで読める。新刊が出るたびに、既刊を読み返すと新たな発見があるというのも楽しいモノで。
 次でこの話も最後。同窓会のように皆が集まってにこやかに「花見」が出来ることを願うばかりです。

【清水マリコ】嘘つきは妹にしておく


「嘘つきは妹にしておく」
著者:清水マリコ
イラスト:toi8
MJ文庫J
bk1

 ゲームノベライズを多く手がけた人のオリジナル。ちょっとしたミステリー仕立てで軽く読める一冊。
 それぞれのキャラクターの背景もちゃんとフォローされつつ、綺麗にまとまっているし、なにより読みやすい。読後感もさわやかだし。結局何だったんだろうってな根本的な謎は残るけど、そこはとっておきたい要素なのかな。イラストの淡い感じも合ってるし。大当たりというわけでもないけど、堅い一冊でした。

【高橋弥七郎】灼眼のシャナ


「灼眼のシャナ」
著者:高橋弥七郎
イラスト:いとうのいぢ
電撃文庫
bk1

 萌えと燃えの剣劇アクション小説?
 全体的に軽い雰囲気で、さくさくと話が進んでいくのは小気味よく。今までふれてこなかった他人の心を得て、自分が変わっていく様にとまどうシャナの様子はなかなかよい感じ。背景となる設定も伏線を張りすぎず、広がる余地も多そうで、今後期待がもてそう。欲を言えば、本当に「ライトな」小説だからもうすこし厚みがほしいところかな……。
 個人的一押しは、シャナより天然な母の方かな……。

2002年10月28日

【星野 亮】ザ・サードVI 異界の森の夢追い人(上)


「ザ・サードVI 異界の森の夢追い人(上)」
著者:星野 亮
イラスト:後藤なお
富士見ファンタジア文庫
bk1

 かなり久しぶりの長編新刊ですね。久々すぎたせいか、イラストの雰囲気ががらっと変わっております。ワタシ的には以前の方がよかったのですが、火乃香が年相応の感じになっているので、こんなものかな、と……。
 中身はといえば、上下巻ということもあって、いつもの「ほのちゃん」が薄いかな。上巻の主役は火乃香よりも浄眼機やフィラ・マリーク、そしてBBとSIZUKUなんではなかろうかと。それくらいこっちのサイドがいい雰囲気を醸し出していましたな。
 全体の筋として、「外」からのものが今まで以上に中心に動いているためそのあたり、少し気になるかも。下巻でうまくまとめられればいいけど、逆に広がってしまうとすこし薄っぺらい話になってしまいそうなのが怖いかな。
 何はなくとも元気なほのちゃんが一番の魅力な訳ですから、そのあたりの要素が薄かった今回はちょっと欲求不満気味。下巻でこのあたりが満たされることを期待しております。

【都築俊彦】まぶらほ メイドの巻


「まぶらほ メイドの巻」
著者:都築俊彦
イラスト:駒都え~じ
富士見ファンタジア文庫
bk1

 ルックスも成績もぱっとしない男の子の元に突然押しかけ女房が! あれよあれよとハーレム状態! ってまぁ、典型的なシチュエーションのシリーズな訳ですが。正直イラストにだまされて一冊買ってしまったのが運の尽き。ちょうどそのときイリヤづいていたのが悪いんだな。
 というわけで、今まではそうでもなかったんですが、今回の一冊は本当にがんばって読みました。途中、何度となく投げ出したくなりながら……。
 メイド軍とカメラ小僧軍のサバゲーを読まされても、ワタシにはおもしろくも何ともありませぬ。元々その気はあったとはいえ、巻が進むにつれ激しくなっていくヒロイン(のはず)の夕菜のジコチュー電波っぷりも鬱陶しく、ほかの二名はすっかり影薄く。というか、全体的にキャラが薄いからなんか、ねぇ。方々でいわれていますが、本当にイラストだけで保ってるシリーズの気がしてきた……。
 「天国に涙はいらない」につづいて、そろそろ見限る頃かもしれない……。

【神坂 一】クロスカディア3 風ワタル地ノ放浪者タチ


「クロスカディア3 風ワタル地ノ放浪者タチ」
著者:神坂 一
イラスト:谷口ヨシタカ
富士見ファンタジア文庫
bk1

 コンスタントに新刊を出すのはさすがな神坂さん。このシリーズも三冊目まできて徐々にテンションを上げつつある雰囲気。スレイヤーズやロストユニバースのように一冊完結という感じでもないので、今ひとつ盛り上がりに欠けるものの、この後どう持っていくのか楽しみであり、不安であり……。ヒロイン(?)であるところのメイがそろそろ化けそうなニュアンスを漂わせ、「行き着くところは残りの魔王様か?」というある種危機感を持ってみたり。
 神坂節であるところの軽快なノリつっこみのやりとりを、のんびりと楽しみつつ読んでいくのがいいかなぁ。全体的になんか「薄い」シリーズなんですけどね。

2002年10月18日

【村山由佳】晴れときどき猫背


「晴れときどき猫背」
著者:村山由佳
イラスト:
集英社
bk1

 村山由佳さんのカモガワ開拓日記の二冊目。今回は猫。ねこネコ猫。
 相も変わらず、なんとはなしに本能の赴くまま行き当たりばったりな生活をなさっているご様子。こんなの読んでると、ネコ飼いたくなってくるよなぁ。
 村山さんのエッセイは、日溜まりの暖かさを感じられるので、ワタシは好きですね。

【鷹見一幸】新・時空のクロスロード2 黄色い瞳の男の子


「新・時空のクロスロード2 黄色い瞳の男の子」
著者:鷹見一幸
イラスト:あんみつ草
電撃文庫
bk1

 これまた食べ物系だな……。前のシリーズは結構ワタシ的にお気に入りだったから、期待して読んだ前作「緑の指の女の子」が不発だったので、どきどきの二冊目でしたが、今回はよかったです。今回は「コロッケ」がネタ。なんと言っても食べ物な蘊蓄が、これまたおいしそうなのがウリだとワタシは思っているので、そのあたり具だくさんだったのはうれしい限り。
 時空のクロスに関しても、前回ほど流れがぶつぶつしていなくて綺麗にまとまっていたし、読みやすかった。それなりに理由付けもできてたし。これなら次が楽しみです。

【三枝零一】ウィザーズブレイン3 光使いの詩


「ウィザーズブレイン3 光使いの詩」
著者:三枝零一
イラスト:純 圭一
電撃文庫
bk1

 情報処理で格闘するという、何とも独特な設定の未来型SF(っていっていいのか?)の3冊目。前作からは少し間があいてしまいましたが。
 中心におくのは男の子と女の子の一組、というのはお約束のようです。この作品の肝であるところの情報処理ツール「I-ブレイン」もこなれてきていい感じ。ただ、今までにあった、盛り上げ場ともいえるガチンコ勝負が今ひとつで、最後のまとめ方のなんだか中途半端なフェードアウトだったのが欲求不満気味。姉とも恋人ともつかない微妙な立場におかれてしまったクレアの扱いがなぁ。結構かわいいとこがあるだけに、再登場期待。祐一君には今後余り出しゃばらないようにしていただきたいと。最強君は話を薄くしてしまうからなぁ……。

【桜庭一樹】竹田くんの恋人 ~ワールズエンド・フェアリーテイル~


「竹田くんの恋人 ~ワールズエンド・フェアリーテイル~」
著者:桜庭一樹
イラスト:みさくらなんこつ
角川スニーカー文庫
bk1

 プレイヤーに恋をしてしまったゲームキャラクターの妖精が、告白したい一心で現実世界にあらわれた、ってそれだけでかなりねらいすぎた感じの受けるあらすじと、その表紙イラストで手に取るのを躊躇していた一冊。著者が、あの「山田桜丸」というのもまぁ、一因ではあるのだけど。某所の評価は意外に高評価だったので読んでみることに。
 あらすじこそアレだが、恋愛がらみのほほえましいやりとりとか、「いいひと」の哀愁とか、プログラムされたモノだから…、なんて葛藤とか、軽いタッチの割にちゃんと書かれていてよい感じ。しかし、題名の竹田くんは実は主役じゃないというのがなんとも……(笑)
 どうやらオリジナルなら失敗はしなさそうなので、ほかの著作にも手を出してみようかな。なにせ、「LOST ONE」で痛い目にあったのは半分トラウマですからな。

【渡辺まさき】夕なぎの街 十八番街の迷い猫


「夕なぎの街 十八番街の迷い猫」
著者:渡辺まさき
イラスト:山田秀樹
富士見ファンタジア文庫
bk1

 富士見で久しぶりに新しい人に手を出してみた。新人賞の最終選考に残った作品に手を加えたモノ。
 舞台は明治大正の西洋風な日本独特な文化が形成されていた頃の街のイメージで、街の一角にある小さな和風居酒屋・夕凪。レトロ西洋な街と、和風の赤提灯、錬金術に魔術、そして自動人形と、なんともごった煮な雰囲気だけど、それが妙な感じでおもしろい。なんと言っても居酒屋だけに、出てくるつまみやまかないのおいしそうなことったらもう。表題にもある迷い猫さんもなかなかにいい味を出していてワタシの好み。
 多少展開の端々に唐突さと強引さがあるけど、それを差し引いても楽しいお話でした。

【渡辺まさき】夕なぎの街 心のかけら


「夕なぎの街 心のかけら」
著者:渡辺まさき
イラスト:山田秀樹
富士見ファンタジア文庫
bk1

 続いて二冊目。これは先月の新刊か。
 自動人形をネタにするときには必ず使われる「心」に関するお話。独特な雰囲気がきれいに出ていてよい感じ。短編との話のつながりも綺麗だし。なによりその個性的な人たちがおもしろく、かわいいですな。あとはやっぱり食べ物系かな。おなかの空いているときに読むのは厳禁かもしれません。

2002年09月29日

【神代 創】パートタイムプリンセス


「パートタイムプリンセス」
著者:神代 創
イラスト:山田秋太郎
MF文庫J
bk1

 ある日突然頭が痛くなったかと思うと、意識が、知らない世界の、知らない誰かの中にあった。周期的かどうなのか、何度となく意識が切り替わりながら、知らずに巻き込まれていくトラブル。割とよくあるシチュエーションだけど、テンポよくすすむ展開は、一気に走りきって読めてしまう爽快感。軽いノリだけど、それなりに抱えたモノもあるわけで、奇妙な出来事を通して、互いを信頼していくその過程も好印象。全体的にさわやかな一冊でした。
 視点が一方のみだったので、是非、もう一方も見てみたいな。個人的にはザッピング形式が希望だったけど、そこまでやってしまうと話が冗長になってしまうか。

【清水文化】気象精霊記6 お月見試験とホゴ活動


「気象精霊記6 お月見試験とホゴ活動」
著者:清水文化
イラスト:七瀬 葵
富士見ファンタジア文庫
bk1

 格闘気象宴会コメディーの6冊目(謎) 今回は、世界観説明に終始してしまったかもしれない一冊でした。でも、相変わらず宴会しているし、前巻からお仲間になったフェイミンさんも微妙な味を醸しているし、独特なシリーズですね。
 本編に挟まれる気象ネタの蘊蓄、大きなウリの一つですが、情けない希望を言えば、一枚挿絵に天気図を挟んでくれれば、より状況把握が確実にできて、理解も深まるんですが。ワタシの頭だけで構築するには能力不足です……。
 前回までで、一連の大きな話が一段落してしまったので、当分はのんびりムードかもしれませんが、おかしな火種はちょこちょこと散在しているようですので、今後もトラブルには事欠くことはなさそうですね。

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