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【岩田洋季】灰色のアイリス2


「灰色のアイリス2」
著者:岩田洋季
イラスト:東都せいろ
電撃文庫
bk1

 人とは異なる強大な力を持った人間が歩む、裏と表の道。その選択に付随する葛藤。それぞれがそれぞれのトラウマを抱えて、だけどつかの間の平穏に身をゆだね……。
 1巻で大きく動いた自分の周囲を、2巻目でゆっくり今までのペースに戻すかのように話の進まない新刊。人として腐ってしまった兄妹に関しては、その設定に違和感あり。というよりも、安易にその理由でのみ人間関係を構築してしまうのは、どうでしょう。1巻目でもあったけど。非現実的な能力と、精神的な部分での話を進めているところに、突然に生々しいほどの理由を挙げられてしまうと、一気に安っぽい雰囲気になってしまう。そこだけが気にかかる。
 ふつうに厚みのある話になりそうなので、もうすこし様子見。

【岩本隆雄】鵺姫異聞


「鵺姫異聞」
著者:岩本隆雄
イラスト:弘司
朝日ソノラマ文庫
bk1

 「星虫」世界の一つ。川崎純が主役だった「鵺姫真話」の後日談、というか番外編というか。主人公がひょこっと出てきたので、人間関係を把握するのに苦労したり。これを読む前に前もって「星虫」と「鵺姫真話」は再読した方がよいのかも。
 プロジェクトに関わる話もそれなりに進めつつ、今回はラブストーリーなのかなぁ、基本は。時間をネタにしてしまったがために、絡めた人間関係がかなり複雑に。あいかわらず、少し環境がらみに関しては人を選ぶ描写がされていますが、それを差し引いても楽しんで読めるのがいいです。最後の落としどころは、ワタシはよいと思いますが、賛否あるようです。ちょっと最後の方は展開が急すぎですけどね。
 いずれにしても、これからは本格的に動き出したプロジェクト、そしてシティーを舞台にした話を熱望します。もう寝ないでね……。

2002年09月15日

【うえお久光】悪魔のミカタ5 グレイテストオリオン


「悪魔のミカタ5 グレイテストオリオン」
著者:うえお久光
イラスト:藤田 薫
電撃文庫
bk1

 脅威のペースで発刊されるミカタの新刊。今回のヒロインは真嶋先輩。その厚さは都市シリーズに匹敵。
 時折挟まれるあからさまな「萌え要素」とちょっと癖のある文章が微妙な感じだった既刊に比べ、この新刊はかなり読みやすくなってきました。まだたまに読みづらいところがあるけど。厚さの原因となったであろうボクシングの試合に関しては、ちょっと冗長すぎた感があるかな。でも、真嶋先輩の葛藤と、見せ場だったのかぼけだったのかわかりにくい「部長」の登場シーンなんかはおもしろかったし、次も読もうかなというところ。

【岩田洋季】灰色のアイリス


「灰色のアイリス」
著者:岩田洋季
イラスト:東都せいろ
電撃文庫
bk1

 脅威の新人とあおられている18歳のデビュー作。なんだけど、やっぱり「びみょー」ですよ。
 それなりに厚みのありそうな世界観と設定。背中にいろいろと抱えている上で構成された個性を持ったキャラクター。要素はちゃんとそろっているのに、全部が中途半端でもったいないことになっている感じ。あと、ヒロインその他の女性陣の背中に抱えているモノが安直すぎなのは、ちょっと……。無理にそういう方向で理由づける意味がそれほどあるのかな、と。また理由提示がけっこう唐突だったし。
 続刊がちゃんと出ているので、今後もっと読みやすくおもしろくなってくれることを期待したいかな。

2002年09月07日

【秋山瑞人】イリヤの空 UFOの夏 その3


「イリヤの空 UFOの夏 その3」
著者:秋山瑞人
イラスト:駒都えーじ
電撃文庫
bk1

 電撃hpにて連載されていたモノを加筆修正した3巻目。今回は書き下ろしなし。代わりにイラスト担当駒都氏によるキャララフが掲載されている。
 「無銭飲食列伝」 女の意地と意地のぶつかり合い。なににつけても不器用なイリヤと、なんだかんだと姉御肌の晶穂の世紀の一戦。ただの大食い競争が、なぜ秋山フィルターをかけるとここまで壮絶なモノになるのか、疑問ではあるけれども、それが楽しみなわけだから。惜しむらくは文中イラストがまるでないこと。とくにこのエピソードに関しては、ショッキングなイラストがhp本誌上にはあったため、かなり残念。そして、ヤローどもは馬鹿炸裂。それでも、「あぁ、そーだったなぁ」と懐古してしまう(苦笑)
 「水前寺応答せよ」 男子であり、男であり、そして漢である。そんな前後編。角が取れて、ようやくスムーズに流れそうになった日常の、その目の前に立ちはだかる巨大な山。そして事態は急降下。じわりじわりと包囲網が築かれていく息苦しさと、じれったさにもだえる最後。次に待ちかまえるのはハッピーエンドか、バッドエンドか……。ここで止めたらまるでEGFのよ……
 「ESP.の冬」 前水前寺テーマのエピソード。水前寺哲学の講義がなかなかおもしろい。こういう理屈、よくまぁ考えるなぁ、と。その底の知れない水前寺邦彦という男、どういう大人に成長するのか、全部見てみたい気がする。このころが一番平和だったのかもしれない、とそんなことも思ってしまう、直前のエピソードと明らかに異なる雰囲気が和ませてくれる。
 次から転がり落ちる展開が繰り広げられるであろうことは確かでしょう。そして、その後にはEGFが控えている、と思いたい……。

2002年09月04日

【竹岡葉月】東方ウィッチクラフト 人の望みの喜びを


「東方ウィッチクラフト 人の望みの喜びを」
著者:竹岡葉月
イラスト:飯田晴子
集英社コバルト文庫
bk1

 青春どたばたコメディー(とワタシは思っているのだけど)の最終巻。怒濤の展開で最後まで突っ走ります。何となく駆け足な感じで終わっちゃったけど、終わり方はきれいだったからよかったかな。周りにもっといじりやすそうなキャラが数人いたから、ここあたりをつっこんでもらえるともっと楽しいんだけど。後書きにあった裏テーマは、言われてみればなるほどなモノでした。
 後半に至るにつれてヒートアップしてくるパニ子の挙動には、ついつい笑いが出てしまう楽しいシリーズでした。

【鷹見一幸】でたまか アウトニア王国奮戦記3 純情可憐編


「でたまか アウトニア王国奮戦記3 純情可憐編」
著者:鷹見一幸
イラスト:Chiyoko
角川スニーカー
bk1

 何とか出たらしい3巻目。前回の結構行き詰まった展開からどう切り抜けるのか、その結果編。純情可憐なんてついているから、今回の主役は王女様かと思いきやそうでもなく、どうやらマリリン姉さんが主役らしい。ここに来て、怪しいAIが二匹ほど登場した割に、そこに言及することは少なく最後は尻切れトンボ気味に終演。某所では「打ち切り」なんて話もあるが、まさにそんな感じ。建前は「第一部完」てなことになってるけど、続きが出るのか、どうなのか。原作(?)には続きもあるようなので、ぜひ続刊に期待したい。細かい思想が云々という展開もなく、ただただスカッとする話なので、読んでいて素直に楽しめる。最近は変に思想的なモノも多いしな……。

【竹岡葉月】東方ウィッチクラフト 垣根の上の人


「東方ウィッチクラフト 垣根の上の人」
著者:竹岡葉月
イラスト:飯田晴子
集英社コバルト文庫
bk1

 隣の有名進学高校の男子生徒にあこがれる主人公であるところの女子中学生が、勢いで首をつっこんでしまったのは、「魔女」の世界?。
 べつに魔女といったところで、魔法でガンガン物事解決という話でもなく、典型的などたばたコメディーの気楽に楽しめるお話。ちょいと主役の男の子の性格がえげつないのが気になるけど、ヒロイン(なのか?)の方に天然が入っているので薄まってヨシ。二人の掛け合いが乗り切ってくるとかなり笑える雰囲気。飯田晴子氏のイラストもあっていると思われます。

【鷹見一幸】でたまか アウトニア王国再興録2 天地鳴動篇


「でたまか アウトニア王国再興録2 天地鳴動篇」
著者:鷹見一幸
イラスト:Chiyoko
角川スニーカー文庫
bk1

 物量vs策略の宇宙戦争話の新刊。前巻でやっと主役が表舞台に出てきて、一気に話が転がり出すかと思いきや、今回は、その他の皆様総動員な展開。たしかに魅力的なキャラクターたちが豊富なので、ほっぽっておくのももったいないか。いくつかのカップルが怪しい挙動を示し出すのが今回のメインかな。密かに今までただの馬鹿な貴族のボンボンだった皇帝陛下が、なんか陰謀を自ら張り巡らすようになってしまったのはなんだか、なぁ。あの馬鹿さ加減がよかったのに。
 「新・時空のクロスロード」よりおもしろく読めるので、次も期待です。

2002年08月30日

【倉田英之】R.O.D. READ OR DIE


「R.O.D. READ OR DIE」
著者:倉田英之
イラスト:羽音たらく
集英社スーパーダッシュ文庫
bk1

 Read or Die -読むか、それとも死ぬか- 活字中毒症状が末期を迎えると、もしかするとこういう事態も生じる、かねぇ? それほどまでに本が好きな主人公・読子リードマン(すごい名前だよ)が遭遇する事件だらけのアクションノベル(ほんとかよ)
 第一巻目ということで、中心二人の出会いがメインで、このシリーズ独特の、奇妙な能力大合戦もそんなに派手でもなく。何よりも活字中毒の気がある人ならば、一度や二度は頷いてしまうシーンがあるというのが一番のウリか。
 軽いタッチですらすら読める、気軽なシリーズ。まさに喫茶店にはいるときのお供にどうぞ的な一冊か。とりあえず、「一店買い」は活字中毒者の夢だと思います。ワタシもいっぺんやってみたいし。

2002年08月27日

【小川一水】ここほれONE-ONE!2


「ここほれONE-ONE!2」
著者:小川一水
イラスト:高木章次
集英社スーパーダッシュ文庫
" →bk1"

 小川印の職業シリーズ(勝手に命名) 土木工事に焦点を当てたシリーズの2作目。最終巻になるのかな? あまりといえばあまりの題名と、ちょいと濃い目のイラストのせいで何とはなしに敬遠しそうになるけど、そこはそれ、小川氏の取材に基づく妙にリアルな職業現場の一端をかいま見られるのはいつも通り。
 最後の方の怒濤の展開は、文中で科学的な論議がなされているので、時々ついていけなくなるけど、傍らに地図を置いてゆっくり読むと、新たな発見があるかも。
 文体に癖があるわけでもなく、読みやすく部分的にSFしているので、日頃よく見る土木屋さんの仕事を知るにはいい入り口かもしれません。働くおとこはかっくい~。

2002年08月25日

【米澤穂信】愚者のエンドロール


「愚者のエンドロール」
著者:米澤穂信
イラスト:高野音彦
角川スニーカー文庫
bk1

 スニーカーレーベルのミステリーもの。評価が高かった前作「氷菓」に続いて、今回もなかなか。
 どかんとした衝撃はなく、主役であるところのホータローが淡々としているので、全編そんな雰囲気。だけど、その淡々とした中にあるちょっとした起伏がおもしろい。また、中心の各キャラたちもなかなか和ませてくれる。今回は、前回よりミステリーミステリーしているけど、殺伐としていないのが好感。乙一に雰囲気にてるかなぁ。……そういえば、綾辻ネタが転がってたな。
 これからもホータロー君たちにはいろいろと活躍してもらえそうなのが期待大かな。

2002年07月30日

【小川一水】導きの星2 争いの地平


「導きの星2 争いの地平」
著者:小川一水
イラスト:村田蓮爾
ハルキ文庫
bk1

 文明育成シミュレーション(笑)の第2巻。レーベルがレーベルだけに、続刊の刊行には不安があったようですが、無事出版されたようです。
 今回のネタは宗教と戦争、かな。まさに中世ヨーロッパの雰囲気です。文明の進化をかなり駆け足でのぞいている感じですが、映画のようでおもしろいです。現場で奔走する主人公・司君を翻弄する、なんだか大きな意志がそろそろ影をちらつかせ始め、次巻以降話が結構動きそうです。極力早く次が読みたいですねぇ。

【伊達将範】DADDYFACE 冬海の人魚


「DADDYFACE 冬海の人魚」
著者:伊達将範
イラスト:西E田
電撃文庫
bk1

 「ぱぱ」3冊目。今回は全体的にトーンは暗め。泣き所も後半戦に一杯。パパの九頭竜も大活躍。じつは結構やばかったけど。シリーズの土台にある「来訪者」の正体もそろそろ明かされつつあったり。「ゆうちゃん」のエピソードを片づけてしまうとお話終わっちゃうんですけど、いい加減しゅーくんもかわいそうなので何とかしてあげたいかも。実は、今回の敵さん「サイレンの魔女」の曰くが今ひとつ理解できていないんですけどね。

【野村美月】 那須高原卓球場純情えれじ~


「 那須高原卓球場純情えれじ~ 」
著者:野村美月
イラスト:依澄れい
ファミ通文庫
bk1

 そのアンバランスな題名で物議を醸した「赤城山卓球場に歌声は響く」の続編。まさか出るとは思わなんだ。
 でも、前作ほどはじけてもおらず、なんだか中途半端な印象。濃ゆいキャラクターとトンデモ舞台設定がウリのバカ小説だったのに、今回は純愛要素をちょっと多めに入れてしまったがタメに、かき回すべき中心キャラクター達の影が今ひとつ薄く。はじけ方が足りなかったなー。もし続刊が出るのであれば、とにかくトンデモ設定のバカ小説で突っ走ってほしいモノです。謎のトロピカルフルーツは、その必要性が最後まで謎だったな……、そういえば。

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