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【増子二郎】ポストガール


「ポストガール」
著者:増子二郎
イラスト:GASHIN
電撃文庫
bk1

 電撃で最近多い短編モノ。電撃HPから読者投票で表に出てきたモノですね。キノの世界でシンフォニアグリーンの雰囲気、という感じでしょうか。ちょっとしたバグを抱えた郵便配達ロボット・メルクリウスのシルキーが、配達先やその途中で遭遇する人たちとの交流話。ハートウォーミング系です。ワタシはこういうタイプが好みなので、この作品は気に入っています。短い話でもきれいにまとまっているし、読みやすい。後はネタがどこまで続くかの勝負、でしょうか。

【笹本祐一】ARIEL 17


「ARIEL 17」
著者:笹本祐一
イラスト:鈴木雅久
朝日ソノラマ文庫
bk1

 物語もかなり収束に向かいつつある「ARIEL」の最新刊。
 最近影の薄かった岸田博士が今回大活躍。最初の威厳はどこへやら、オルクス艦長はますます周りに振り回され。もちっと劇的に進むかと思われた地球と宇宙人のファーストコンタクトも、博士のノリに巻き込まれ、イー感じのドタバタ劇に。久しぶりにSFらしい技術論も結構おもしろく、作者曰く「話が進まない」今回の一番の見物がこのあたりではないかと。最後に出てきた無敵超人と、今回ちょっと出だった前回前々回の主役・由貴嬢の動向が気になるところ。終わりも読めないし。はよー次が読みたいのー。

【清水文化】海底火山とラッコ温泉 気象精霊記4


「海底火山とラッコ温泉 気象精霊記4」
著者:清水文化
イラスト:七瀬 葵
富士見ファンタジア文庫
bk1

 どたばた宴会&お天気コメディ(謎)の4冊目。大量に出てくる似たような精霊さん達の識別に、やっと慣れてきました。今回のネタは、火山と地震。今までに増してマニアックになってきました。
 前回から本格的に動き始めた敵さんの目的が、「噴火の冬」。氷河期にしちまおー、ということらしいです。そこに至るまでの過程が全編通して、結構トーン抑えめで展開されてきます。今回、宴会が少ないのでそうそう流れがとぎれることもなく、いいペースで最後まで行ったんではないかと。見所が少ないとも言いますが(^^; 唯一の見所、温泉シーンも、なんだかキナ臭い話になってしまうし……。
 これで話が完結していないみたいだし、とらわれの身になって昏倒しているあの人の今後の動向も気になるし、主役周辺の伏線もそろそろ気になるし、という感じで、次の巻がかなり気になります。
 作者のページ、結構読みどころ豊富です。もう一度全部読み直してみようかなー、という気になる、そんなことやあんなことがたくさん。一見の価値ありです。

【杉原智則】熱砂のレクイエム 鉄騎兵、跳ぶ!


「熱砂のレクイエム 鉄騎兵、跳ぶ!」
著者:杉原智則
イラスト:平井久司
電撃文庫
bk1

 何となく表紙買いした一冊。川上さんの都市シリーズより分厚い一冊。とりあえず、一日かけて読んでみる。結論。はずれ。

 読み始めて10ページ程度で眠くなったライトノベルスの文庫は初めてでした。明確な理由はわかりませんが、とにかく「浸れない」。そもそも、世界観も、状況もどうも頭に入らない。というか、説明あったかなー? いきなりに出てくる人間の数が多い割に、それらの動きが裁き切れていないという感じ。本は厚いけど、中身はひょっとすると薄いのかも。とにかく、キャラクターが立ってないのがすべてなんでしょう。キーとなる兵器、MRVも今ひとつインパクトに欠けるし。うぬ、否定的なものしか出てこない。

【伊達将範】COOLDOWN


「COOLDOWN」
著者:伊達将範
イラスト:緒方 剛志
電撃文庫
bk1

 走り出したら止まらない、ノンストップアクションノベルと銘打たれたこの作品。一人の転校生が学校にきたことから始まる事件。たまたま離れていた、ちょっとアウトロー気味な男子一名が成り行きで事件解決に奔走する、というか戦う戦う、そんな話。でもなー、ノンストップというほどでも……。事件背景の説明もほとんど皆無だし、底の浅い印象受けました。なんだろ? 執筆逆順に読んでいったせいでしょうか。「DADDY FACE」はそんなこと、感じないんですけど。ヒロインの女の子も、何となく中途半端だし。もうちょっと人間ドラマが中にほしいのかも。アクション一辺倒だから。本文最後の方にネタとしても出てきますが、洋画の「スピード」に雰囲気近いかも。でも、やっぱり中途半端。うぬぅ。

【七尾あきら】風姫 天を継ぐ者


「風姫 天を継ぐ者」
著者:七尾あきら
イラスト:川島旅順
ファミ通文庫
bk1

 以前、角川スニーカーで本を書いていた妖怪好きな七尾さんの新刊。「物の怪」好きなワタシにはちょうど良い物の怪モノでした。もともとしっかりしたお話を書く人なんで、浸って読んでしまいました。個人的好みで言えば、もうちっとけなげな物の怪がたくさんいるとうれしいんですけど。でも、きれいにまとまっているし、キャラクターも魅力的。難点は人が死にすぎるところか。今後、妖狐がいい緩衝剤になってくれるといいんですけど……。続き物としては、妖怪退治なお仕事をこなす毎日になっていくんでしょうか。とりあえず、次も期待です。

【伊達将範】DADDYFACE


「DADDYFACE」
著者:伊達将範
イラスト:西E田
電撃文庫
bk1

 通称「パパ」。帯文句であるところの「九歳違いの親娘」って設定だけはもちっとなんとかならんかとも思いますが、キャラクター達が皆魅力的でいいかも。本文に出てくるアイテム類もいい感じでマニアックだし。最初にF-22ラプターが出てきたときは、「おぉっ」てな感じでしたが、そのあとにランボルギーニカウンタックが出てきたときは苦笑するばかり。その後にも出てくるわ出てくるわ。このあたりは笹本さんの「ARIAL」に通じるところがあるかと。個人的には大好きですけどね。文章の勢いは「E・G」秋山さんに近い物が。忙しいときには読めない部類の本です(笑) しかし、なにより驚くのはその情報量。宝探しというだけに、神話・伝説その他諸々がいろいろと出てくるんですが、その情報量が圧倒的。娯楽小説のはずなのに読むと勉強になります。笹本・秋山属性と考えられる方は結構つぼにはまるんじゃないかと。これは久々のヒット作ですな。書店で目に入ったのは担当ミネさんの陰謀か!?(爆)

【伊東京一】BIOME 深緑の魔女


「BIOME 深緑の魔女」
著者:伊東京一
イラスト:OKAMA
ファミ通文庫
bk1

 「第2回ファミ通エンタテインメント大賞」入賞作。
 地表の96%が樹海に覆われている惑星の物語。人間はその樹海のごく一部を切り開いて、樹海にすむ虫や獣たちにおびえながら生活している。主人公は樹海を旅し、虫達の害を取り除く「フォレストセイバー」の女の子。とまあ、雰囲気だけなら「風の谷のナウシカ」丸出しだけど、全編にわたって繰り広げられる生態系ピラミッドの展開は見事。一つ一つ扉を開けるように展開していく生態系の、その驚異。きっかけはちょっとした生態系の乱れ。それが大きな災厄の始まりとなる。生態系を知るものの知恵比べの緊迫感。迫力です。
 ちょろりちょろりと伏線になりそうなキーワードも出てきて、うまくすればシリーズ化も可能なのかな。今までに読んだことのないタイプの話なので、楽しめて読めました。ファミ通文庫でなければもっと話題になっただろうに。
 自然を自分のいいように手玉にとるのではなく、自然のシステムを解析して、それに則って制御をする。ちょっと前まではふつうにやられてきたことなのに、今の地球上で行われていることは……? なんてことも考えさせられてしまうアタリの一冊。

【岩本隆雄】鵺姫真話


「鵺姫真話」
著者:岩本隆雄
イラスト:弘司
朝日ソノラマ文庫
bk1

 「星虫」の4年後くらいが舞台なんでしょうか? プロジェクトもぼちぼち進み出した頃の話。病気が原因で望んだものから見放されてしまった主人公。惨めな気持ちで実家へ帰ってきたものの、ふとしたことから過去へと飛ばされてしまう、とまぁ、タイムトラベルものです。この手の話は、読んでいても頭がこんがりやすいのですが、これも最後の方はまだ理解し切れていません(^^; 時間軸が絡み合っちゃって……。作者が「神様」の話というだけに、ここいらがキーワードチックなんですが、特殊技能を持った人間に対する尊敬とかは、「神」に対するものに近く、一歩間違うと畏怖に発展しやすいという、なんかまた考えさせられる話でした。微妙に絡んだ恋愛事情もいい感じで味を出してます。次にでるという「イーシャの舟」にも絡んだ話らしいので、期待しましょう。

【小川一水】導きの星1 目覚めの大地


「導きの星1 目覚めの大地」
著者:小川一水
イラスト:村田蓮爾
ハルキ文庫
bk1

 かっこいいその道のプロを書くことの多い小川氏の純粋SF。
 銀河にあまねく広がった人類が遭遇した外宇宙知的文明体・ETI。その文明の進化を見守り、保護し、時には導いていく、文明シムシティーなお話。二足歩行もできるリス系の知的生命体の文明を、新米の監視人であるところの主人公が試行錯誤をしながら導いていく。地球の歴史をなぞりたくはないのに、結果としてなぞっていってしまう。そのあたり、背景説明にちょこちょこと皮肉も入ったりはするけど、結構勉強にもなるし、文明固有の体系も良くできていて読み応え十分。最後までたどり着くのは時間がかかりそうだけど、最後までおつきあいしたいシリーズかも。ちょこっと含まれる恋愛模様の行く末も気にはなりますが……。

【茅田砂胡】神々の憂鬱 暁の天使達2


「神々の憂鬱 暁の天使達2」
著者:茅田砂胡
イラスト:鈴木理華
C-NOVELSファンタジア
bk1

 さてさて、問題のこっぱづかしい表紙の茅田新シリーズ2冊目です。どーやら茅田女史は紅魔女とデル戦を完全にくっつける方向で進めるようです。もしかすると拳銃娘もいっしょくた?
 状況説明が多く、キャラクターの動きが少なかった今回は、ちょっと派手さに欠けるかもしれません。また今後、どういう方向で話を持っていくのか、黒ネズミにまつわる『神様』の話に決着をつけるお話になるのか、未だその全体像はちっともつかめない、微妙な感じです。順調にいけば次は11月らしいので、次で話が進むことを願います。ちなみに今回から挿絵変わりました。黒ネズミが違和感ばりばりです。デル戦の印象が強すぎるんですよねぇ……。

【笹本祐一】ARIEL18


「ARIEL18」
著者:笹本祐一
イラスト:鈴木雅久
朝日ソノラマ文庫
bk1

 案の定というか、いつものことというか、結局3ヶ月近く延期を繰り返した末の刊行。桃色頭脳・岸田博士が本格的に活動を開始して、展開は加速しつつも動きだし。だけど、どう決着を持っていくのか、残り話数も少なくなっていくこれからを期待したいところだけど、いつまでかかるやら……。今年はロケットの打ち上げも多いしねぇ。
 艦長&司令の今後の活躍を期待しているんですが、経理部長とチィねえにもって行かれるような気もするな。

【伊達将範】DADDYFACE 世界樹の舟


「DADDYFACE 世界樹の舟」
著者:伊達将範
イラスト:西E田
電撃文庫
bk1

 「ぱぱ」の2冊目。ますます勢いづく9歳違いの父娘(+母子?)。今回の舞台はドイツ。ネタは北欧神話、世界樹。作中「フレイヤ異伝」の展開はびっくり。このあたりの創造性はさすがです。宝探しな父娘に、知らずに関わる樫緒くんが今回大活躍。少しずつパパにもうち解けてきていい感じ。はずさずに持ってくる「しゅーくん」エピソードでもしっかりと泣かせてくれますし。結構分厚いんですけど浸れちゃうんで、あっさり読めちゃうシリーズです。

【笹本祐一】ブループラネット 星のパイロット4


「ブループラネット 星のパイロット4」
著者:笹本祐一
イラスト:鈴木雅久
朝日ソノラマ文庫
bk1

 相変わらずぶちかましてくれます、笹本さんは。すっかりハードレイクに住み着いたスウが持ち込んだ情報から、世界中があっと驚く事実が……。
 核融合とか、人工衛星やってる先輩の話を聞くと、どうも先端技術の先行きは暗く感じられるのですけど、こういう話があると、やっぱり希望というか夢というかをなくしたら終わりだな、とそう思えるわけです。ただ、本編に関していえば、もうちっと宇宙を舞台にしてほしいかな、と。前巻とともに主な舞台が地上でしたし。しかも最近、若い二人の活躍が……。これに関してはいいんですけど、美紀さんがかすんじゃって(笑) 今回一番の収穫は、ミス・モレタニアのう・な・じ♪(爆) まぁ、それは冗談にしても、やっぱり笹本さんの作品読むと少し元気になりますね。次はARIALですかね。これもたのしみたのしみ。

2002年07月14日

【今野緒雪】マリア様がみてる パラソルさして


「マリア様がみてる パラソルさして」
著者:今野緒雪
イラスト:ひびき玲音
集英社コバルト文庫
bk1

 リリアン女学園なる女子校で繰り広げられる淡く青い人間ドラマ、ってやつですか。ソフト百合系なんて言われ方もしますが。方々で話題になっていたので、手を出してみました。その最新刊。
 前作、「レイニーブルー」がまさにブルーな終わり方をしていたので、その決着をどうつけるのか、それが注目でした。表紙を見れば、結末はわかるんですけど、その過程が重要なわけで。結論から言えば、きれいだけど物足りない。そんな感じ。登場人物が急に増えたこともあるのかもしれないけど、もうちょっと衝撃的な展開があってもいいと。白薔薇ファミリーが劇的すぎたせいでしょうかね。新入り乃梨子嬢があまり出番がなかったのも不満の一つかな。でも、丸く収まったから良かった良かった。
 コレで次は、祐巳&由乃の妹取りかなぁ?

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